タブレット端末として高い人気を誇るiPadは、イラスト制作の現場でも幅広く活用されています。Apple Pencilとの高い親和性やアプリの充実度により、紙とペンに近い描き心地と、デジタルならではの利便性を両立できます。
本記事では、用途やスキルに応じて選べるiPad向けのおすすめイラストアプリを紹介します。
目次
iPadでイラストアプリを使うメリット
iPadでイラスト制作を行う最大のメリットは、Apple Pencilとの連携による描きやすさです。筆圧や傾き検知に対応しており、繊細な表現が可能です。さらに、直感的な操作性により、初心者でもすぐに描き始めることができます。
また、iPadは軽量で持ち運びやすいため、場所を選ばず作業できる点も魅力です。カフェや移動中、ベッドの上など、好きな場所でスケッチや着彩を楽しめます。
iPad向けイラストアプリの選び方
iPad向けのイラストアプリを選ぶ際には、いくつかのポイントを意識することで、自分に合ったツールを見つけやすくなります。
用途に合っているか
趣味で気軽に楽しみたいのか、仕事で本格的に制作したいのかによって、選ぶアプリは異なります。たとえば、シンプルなスケッチアプリはアイデア出しやラフ画に向いていますが、商業用イラストではより高度な機能が求められます。
必要な機能が揃っているか
レイヤー機能やブラシの種類、テキスト入力、選択ツール、アニメーション機能など、自分が必要とする機能が備わっているかを確認しましょう。特に、制作工程が複雑な場合は、多機能なアプリが作業効率を大きく左右します。
価格体系が自分に合っているか
無料アプリから買い切り型、有料のサブスクリプションまで、価格体系はさまざまです。長期的に使用する予定がある場合は、買い切り型がコストを抑えられることもありますが、定期的に機能更新されるサブスク型にも利点があります。
クラウド連携やファイル共有のしやすさ
制作データを他のデバイスと共有したり、バックアップを自動で取ったりするには、クラウド連携の有無が重要です。複数端末で作業したい場合や、チームでのやりとりがある場合には特に注目したいポイントです。
自分の描きたい表現に適しているか
水彩画のような柔らかいタッチが得意なアプリもあれば、ベクター線での正確な表現を重視したアプリもあります。自分の作風や表現したいスタイルに合ったアプリを選ぶことで、表現の幅が広がります。
複数のアプリを試してみることで、自分にとって操作しやすく、使い続けたくなるアプリに出会えるはずです。まずは無料で始められるものから導入し、必要に応じて有料版へ移行するのもよい方法です。まずは無料で始められるものから導入し、必要に応じて有料版へ移行するのもよい方法です。
無料でも使えるiPad向けおすすめイラストアプリ
ここでは、無料で利用できる、もしくは基本的な機能を無料で使えるiPad向けイラストアプリを紹介します。コストをかけずに始めたい方や、まずは使い心地を試してみたい方におすすめのラインナップです。
ibisPaint X

豊富なブラシやトーン、スクリーントーンなどを搭載し、SNSとの連携機能も充実している人気のアプリです。描画工程を自動で録画できる機能があり、メイキング動画の作成にも便利です。無料版でも多くの機能が使えますが、広告非表示や高度な機能は有料となります。初心者から中級者まで幅広く活用されています。
有料プラン
有料プランは月額300円/年額3,000円。広告非表示、ブラシや素材の追加、キャンバスサイズの自由設定などが可能になります。基本無料で使え、広告非表示や一部機能は有料となります。
MediBang Paint

完全無料で使える定番のイラストアプリです。クラウド機能により、複数の端末間で作業を引き継げるのが特徴です。ブラシの種類も豊富で、漫画やイラストの制作にも対応しています。共同制作にも使える「チーム」機能があり、仲間と一緒に作品を作ることも可能です。
有料プラン
有料プランは月額350円〜。基本は無料で利用できますが、より多くのクラウドストレージや広告非表示のプレミアムプランがあります。
Tayasui Sketches

直感的な操作と美しいUIで人気のスケッチアプリです。無料版でも水彩風のタッチが楽しめ、アナログに近い描き味が特徴です。描いたスケッチはギャラリーで一覧表示でき、アイデアスケッチや日常のメモにも適しています。
有料プラン
有料プランは週額600円/年額11,000円。Proバージョンでブラシやレイヤーの制限が解除され、より多くの機能を使用可能となります。
Concepts

無限キャンバスとベクター描画を兼ね備えた柔軟性の高いアプリです。思考の整理やUI設計、建築スケッチなどにも活用されており、Apple Pencilの傾きや圧力にも対応。基本無料で使え、用途に応じて機能を追加購入できます。
有料プラン
Proプランは月額700円/年額4,500円。買い切りプランのエッセンシャルは6,000円。ブラシの追加、CADスタイル機能、PDF出力などが可能になります。
Art Set 4

鉛筆やクレヨン、水彩など、リアルな画材の感触をデジタルで再現したアプリです。無料版でもスケッチ感覚の使用が可能で、Pro版ではさらに豊富な筆やキャンバス設定が解放されます。アナログ画材の質感を重視するユーザーに最適です。
有料プラン
Pro版は買い切りで2,000円。全ブラシと高度なカスタマイズ、レイヤー機能が解放されます。
SketchBook

Autodeskが開発した高品質な描画アプリ。シンプルなインターフェースと軽快な動作で、スケッチ用途に適しており、プロも使用する描画環境を提供しています。
有料プラン
アプリ内購入の「プレミアムバンドル」(500円)を購入することで、ブラシのインポート、レイヤーグループ、色調整、PDF書き出しなどの高度な機能が利用可能になります。
Adobe Fresco

Adobeが提供するデジタルペイントアプリで、ラスタとベクター両方に対応しているのが特徴です。水彩や油彩のブラシ表現が非常にリアルで、他のAdobe製品との連携もスムーズです。基本は無料で使えますが、プレミアム機能はサブスクリプションが必要です。
有料プラン
有料プランは月額1,300円〜。Photoshopブラシやクラウドストレージ拡張、選択ツール強化などのプレミアム機能が利用可能になります。
Linearity Curve(旧Vectornator)

旧名称Vectornatorとして親しまれていたアプリで、現在はLinearity Curveという名称で提供されています。高機能なベクターグラフィック制作が可能で、ロゴやイラスト、UIデザインなどにも対応。iPad、iPhone、Mac間の連携もスムーズで、初心者からプロまで幅広く支持されています。
有料プラン
基本的な機能は無料で利用できますが、有料の「Linearity Pro」プランは週額800円/年額6,000円。加入すると、SVGやPDFでの高解像度書き出し、クラウド同期、AI背景除去、自動トレース、無制限のアートボード作成などの高度な機能が利用可能になります。
iPad向けおすすめ有料イラストアプリ
こちらでは、有料のみで提供されているiPad向けイラストアプリを紹介します。プロユースに対応した高機能なアプリが多く、商業目的での使用や本格的な制作を行いたい方に適しています。
Procreate

プロの現場でも定番のイラストアプリ。買い切りで1,800円。
ブラシのカスタマイズ性が高く、直感的なインターフェースで操作も快適。レイヤー機能やフィルター、アニメーションツールも充実しており、ハイレベルな作品制作に十分対応します。動作が軽快で、Apple Pencilとの相性も抜群です。
CLIP STUDIO PAINT

プロの漫画家やイラストレーターに支持される高機能なアプリです。トーン、フキダシ、コマ割りといった漫画制作に特化した機能に加え、アニメーション制作にも対応。サブスクリプション形式で、定期的なアップデートとサポートが受けられます。
PRO、EX、iPad以外のOSでも使えるプランなど、有料プランは多種で複雑。詳細は以下のページでご覧ください。
Affinity Designer

本格的なベクターグラフィック制作に対応したアプリで、ロゴやアイコン、UIデザインなどに最適です。精密な操作が可能で、買い切り型の価格設定も魅力。PhotoshopやIllustratorの代替としても注目されています。
iPad単体プランは買い切りで1,750円。MacやWindows版を含むユニバーサルライセンスなども利用可能です。
まとめ
iPad用のイラストアプリは、用途や目的に応じてさまざまな選択肢があります。描きたいジャンルやスタイル、自身のスキルレベルを考慮して、最適なアプリを選ぶことが快適な創作活動につながります。まずは無料で試せるものから始めて、徐々に自分に合ったツールを見つけていくのもよい方法です。