Macで複数のPDFを1つにまとめたいとき、追加アプリを入れなくても 標準の「プレビュー」 や Finder のクイックアクション、ショートカットアプリ、ターミナルだけで完結します。それぞれ得意とするケースが違うので、本記事では「2〜3個のPDFをサッと結合したい」「数十個を順番指定で一括処理したい」「決まった作業をボタン一発化したい」といった用途別に最適な手段を解説します。macOS Sonoma / Sequoia 対応で、Apple Silicon・Intel Mac どちらでも同じ手順で動きます。Macトラブルの全体像はMacのトラブル対処法まとめもあわせてご覧ください。
目次
- 用途別:どの手段を使うか早見ガイド
- プレビューでPDFを結合する(基本) 1.2つのPDFを結合する手順 1.複数のPDFを一度に結合する手順 1.ページの並び替え・削除 1.一部のページだけ抽出して結合する 1.結合後は必ず「別名で保存」する理由
- Finderのクイックアクションで一発結合 1.クイックアクションの基本手順 1.出力ファイル名と保存場所の挙動 1.並び順を制御するコツ
- ショートカットアプリで結合作業を自動化 1.「PDFを結合」アクションの使い方 1.Finderのクイックアクションとして登録する 1.Dock やメニューバーから呼び出す
- ターミナルでコマンド結合(一括処理向け) 1.join.py スクリプトの場所と基本構文 1.ファイルを順番指定で結合する
- 結合できない・失敗する時の対処 1.パスワード保護されたPDFは先に解除する 1.ファイルサイズが大きすぎる場合 1.結合後にファイルサイズを圧縮するQuartzフィルタ 1.「ファイルを開けません」エラーの対処
- オンライン結合ツールを使う前の注意点
- まとめ:シーン別おすすめ手段
用途別:どの手段を使うか早見ガイド
結論から先に言うと、Mac標準のPDF結合手段は 4つ あります。それぞれ得意な使い方が違うので、最初に自分の用途に合うものを選んでください。
- プレビュー:2〜10個程度のPDFを、ページの並びを目で確認しながら結合したい場合の定番。GUI操作で直感的
- Finderのクイックアクション:複数のPDFをFinderで選択 → 右クリック1回で結合。ファイル名でソートされた順に並ぶので、命名規則さえ整っていれば最速
- ショートカットアプリ:定型作業を自動化したい場合。一度作れば次回から1クリックで実行
- ターミナル(join.py):ファイル名のソートが効かない数十個以上のPDFを、シェルスクリプトで一括処理したい場合
「とりあえず2つのPDFを1つに」なら、迷わずプレビューでOKです。Finder側の操作で済ませたい場合はクイックアクション、繰り返し作業ならショートカット、と用途別に切り替えていきます。
プレビューでPDFを結合する(基本)
Mac標準アプリの 「プレビュー」 は、ダブルクリックでPDFを開けば自動的に起動するおなじみのアプリです。サムネールパネルにファイルをドラッグするだけで結合できます。
2つのPDFを結合する手順
- 結合したい 1個目のPDF をプレビューで開く(ダブルクリック)
- メニューバーの 「表示」→「サムネール」 を選択(または Option + Cmd + 2)でサムネールパネルを表示
- Finderから 2個目のPDF をサムネールパネルへドラッグ&ドロップする
- サムネールに2つ目のPDFのページが追加されたら、Cmd + S で保存(後述の通り、別名保存推奨)
ドラッグ先には注意が必要です。サムネールパネルの「ページとページの間」にドロップすると、そのページの後に追加されます。既存のページサムネールの上に重ねてドロップすると「そのPDFを別ページに置換」する動作になってしまうので、必ずページとページの間(薄い区切り線が出る位置)にドロップしてください。
複数のPDFを一度に結合する手順
3個以上のPDFも、サムネールパネルへの連続ドラッグで結合できます。
- 1個目のPDFを開いてサムネールパネルを表示
- Finderで 2個目以降のPDFを Cmd キーで複数選択
- 選択した複数ファイルをまとめてサムネールパネルへドラッグ
- 並び順を確認し、必要に応じてサムネール内でドラッグして並び替える
- 「ファイル」→「書き出す」 で別名のPDFとして保存
複数まとめてドラッグしたとき、ファイル間の並び順は Finderでの選択順序に依存することが多いですが、確実ではありません。最終的な順序はサムネール上で必ず目視確認してください。
ページの並び替え・削除
結合後にページの並びを直したい場合、サムネールパネル上で ページサムネールをドラッグ するだけで自由に並び替えられます。
- 並び替え:サムネールをドラッグして移動先にドロップ。複数ページを Shift / Cmd で範囲選択してまとめて移動も可能
- 削除:サムネールを選択して Delete キー、または右クリック → 「削除」
- 回転:サムネールを選択して Cmd + R(時計回り)または Cmd + L(反時計回り)
結合元の各PDFが左右どちらの綴じ・縦横向きが混ざっている場合、回転をかけてから保存すると見栄えが整います。
一部のページだけ抽出して結合する
「PDF全体ではなく、3〜5ページ目だけを取り出して別のPDFと結合したい」というケースもプレビューだけで完結します。
- 抽出元のPDFをプレビューで開く
- サムネールパネルで 必要なページだけを Cmd キーで複数選択
- 「ファイル」→「プリント」 を開き、ダイアログ左下の PDF ▼ → 「PDFとして保存」 を選択(プリントできない場合は、サムネールから「ファイル」→「書き出す」でも可)
- 抽出したPDFを別名で保存
- その抽出PDFを使って、上記の結合手順を実行する
ドラッグでサムネールを別のプレビューウィンドウのサムネールパネルに直接移すこともできます。複数のプレビューウィンドウを並べておけば、必要ページだけを引き抜いて新しいPDFに集める作業がスムーズです。
結合後は必ず「別名で保存」する理由
プレビューで結合作業をしたあと Cmd + S をそのまま押すと、1個目に開いていたPDFが上書きされます。元ファイルを残したい場合は必ず以下のいずれかを使ってください。
- 「ファイル」→「複製」(Option + Shift + Cmd + S)で複製してから保存
- 「ファイル」→「書き出す」 で新しいファイル名・保存先を指定
- 保存ダイアログで Option キーを押しながら「ファイル」を開くと「別名で保存…」が出る
とくに業務で使うPDFを結合する場合、原本を上書きすると差し替えが効きません。「結合済み.pdf」のように命名を変えて別ファイルとして保存する運用が安全です。
Finderのクイックアクションで一発結合
macOS Mojave 以降、Finderには 「クイックアクション」 という機能が標準搭載されています。複数のPDFを選択して右クリック1回で結合できるので、プレビューを開かずに済みます。
クイックアクションの基本手順
- Finderで結合したい 複数のPDFを選択(Cmd キーで複数選択、または Shift で範囲選択)
- 右クリック → 「クイックアクション」→「PDFを作成」 を選択
- 選択したPDFが結合された 新しい PDF ファイル が、選択した最初のファイルと同じフォルダに作成される
クイックアクションが右クリックメニューに見つからない場合は、Finderの 「表示」→「プレビューを表示」(Shift + Cmd + P)でプレビューパネルを表示し、そこに表示されるアクションボタンの一番下 「その他…」 から「PDFを作成」を有効化してください。
出力ファイル名と保存場所の挙動
クイックアクションの「PDFを作成」は、以下のルールで出力ファイルが作られます。
- 出力ファイル名は 選択した最初のファイル名 + 拡張子 .pdf(例: 請求書.pdf を1つ目に選んだ場合、結合結果は同じ 請求書.pdf)
- 同名のPDFがすでにあると、「請求書 2.pdf」のように連番が付与される
- 保存場所は選択した最初のファイルと同じフォルダ。デスクトップやダウンロードフォルダで作業しているなら、すぐ目視で確認できる
ファイル名がわかりにくくなりがちなので、結合後は手動でリネームする運用を推奨します。Finder上で Enter キーを押せばすぐにリネームできます。
並び順を制御するコツ
クイックアクションでの結合順は 選択した順番 ではなく、Finderでの表示順(並び順)に従います。これを利用して、ファイル名に 連番(01_、02_…) を付けておくと、Finderを「名前順」表示にしたときに確実に望む順序で結合されます。
- 名前順に並べる:Finderの「表示」→「整頓」→「名前」を選択
- 連番付きでまとめてリネーム:複数ファイル選択 → 右クリック → 「項目をリネーム…」→ 「フォーマット」で「001、002…」のような連番を一括付与可能
- 撮影日付順なら 「日付」、サイズ順なら 「サイズ」でソートしてから選択する
逆に「特定の順番でしか結合できない」ファイル群(例:A.pdf を最後にしたい)なら、ファイル名を一時的に 09_A.pdf のように改名するのが手っ取り早い解決策です。
ショートカットアプリで結合作業を自動化
macOS Monterey 以降に標準搭載されている 「ショートカット」 アプリでも、PDF結合のオートメーションを組めます。一度作っておけば、Finderの右クリックメニューやメニューバーから1クリックで起動できるので、繰り返し同じ作業をする人に向いています。
「PDFを結合」アクションの使い方
- ショートカットアプリを開いて、左上の 「+」 で新規作成
- 右側の検索バーで 「PDFを作成」 を検索してドラッグ
- 「PDFを作成」アクションの上に 「ショートカットの入力を取得」 を追加し、入力タイプを「ファイル」に
- 「PDFを作成」アクションの下に 「保存」 アクションを追加し、保存先を「デスクトップ」など分かりやすい場所に設定
- 右上の ⓘ(情報)→ 「クイックアクションとして使用」 にチェック → 「Finder」 を有効化
- 名前を 「PDFを結合」 などに変更して保存
これでFinderの右クリックメニューに「クイックアクション → PDFを結合」が表示されます。
Finderのクイックアクションとして登録する
上記の手順5でクイックアクション化を有効にすれば、Finderから複数PDFを選択 → 右クリック → 「PDFを結合」で実行できます。
標準のクイックアクション(PDFを作成)と違い、ショートカット版では 保存先・ファイル名・PDFのメタデータを自由にカスタマイズできます。たとえば「結合後にiCloud Driveの特定フォルダへ保存」「結合直後に別アプリで開く」といった処理を1ステップで組み込めます。
Dock やメニューバーから呼び出す
作成したショートカットは、ショートカットアプリ内で右クリック → 「Dockに追加」 または 「メニューバーにピン留め」 も可能です。
- Dock追加:Dockのアイコンをクリックでファイル選択ダイアログ → 結合実行
- メニューバー:メニューバーのショートカットアイコンから1クリックで実行
- キーボードショートカット割り当て:システム設定 → キーボード → キーボードショートカット → 「サービス」で任意のキーを設定可能
Macのキーボード操作で完結したい場合はMacショートカットキー一覧もあわせて参照してください。
ターミナルでコマンド結合(一括処理向け)
数十個以上のPDFをスクリプトで自動処理したい・他のシェルコマンドと組み合わせたい場合は、macOSに標準搭載されている join.py スクリプトをターミナルから直接呼ぶのが最も柔軟です。Pythonの追加インストールは不要で、Apple Silicon・Intel どちらの Mac でも同じ場所にあります。
join.py スクリプトの場所と基本構文
結合スクリプトは以下のパスにあります。
/System/Library/Automator/Combine PDF Pages.action/Contents/MacOS/join.py
基本の構文は次の通りです。
"/System/Library/Automator/Combine PDF Pages.action/Contents/MacOS/join.py" -o output.pdf input1.pdf input2.pdf input3.pdf
- -o:出力ファイル名を指定
- input*.pdf:結合元のPDFを左から順番に並べる(出力PDFのページ順もこの並び)
- パスにスペースが含まれる場合は 引用符で囲む 必要がある(上記のように "..." で全体を囲む)
頻繁に使うなら、~/.zshrcに alias pdfjoin='"/System/Library/Automator/Combine PDF Pages.action/Contents/MacOS/join.py"' のようにエイリアスを設定しておけば、pdfjoin -o out.pdf 1.pdf 2.pdf と短く書けます。
ファイルを順番指定で結合する
シェルの ワイルドカードを使うと、フォルダ内のPDFをまとめて結合できます。
"/System/Library/Automator/Combine PDF Pages.action/Contents/MacOS/join.py" -o all.pdf *.pdf
この場合、シェルがファイル名を辞書順に並び替えてから スクリプトに渡します。望む順序にしたければ、Finder側のクイックアクションと同じく ファイル名に連番(01_intro.pdf、02_main.pdf…)を付けておくのが定番です。
並び順を完全に制御したい場合は、ファイル名を1つずつ明示的に列挙します。
"/System/Library/Automator/Combine PDF Pages.action/Contents/MacOS/join.py" -o report.pdf cover.pdf chapter1.pdf chapter2.pdf appendix.pdf
シェルスクリプトに組み込んで、特定フォルダのPDFを夜間に自動結合するといった運用も簡単に組めます。
結合できない・失敗する時の対処
「サムネールにドロップしてもページが追加されない」「クイックアクションがエラーで止まる」「結合後のファイルが開けない」など、PDF結合にまつわる典型トラブルと対処法をまとめます。
パスワード保護されたPDFは先に解除する
暗号化されたPDFや編集制限がかかったPDFは、プレビューでの結合・サムネール追加が拒否されることがあります。「結合できない」と表示されたら、まずパスワード保護や編集制限がないかを確認してください。
- プレビューでPDFを開き、「ファイル」→「書き出す」 を選択
- 書き出しダイアログ下部の 「暗号化」 のチェックを外して保存
- 新しいファイル名で保存し直したPDFを使って結合する
編集パスワードがわからない場合は、PDF所有者から提供してもらうか、第三者ツールでの解除を検討します。セキュリティ目的でかかっているパスワードを無断で解除するのは権利者の意向に反する可能性があるので、必ず利用権限を確認してから作業してください。
ファイルサイズが大きすぎる場合
1ファイルが数百MB〜数GBのPDFは、プレビュー・クイックアクションともにメモリ不足で固まることがあります。
- 事前に分割して結合:プレビューで「ページごとに分けて書き出す」など段階的に処理
- ターミナル経由:上述の join.py はメモリ効率が良いケースが多い
- 不要ページを削除してから結合:スキャンPDFの白紙ページなどを先に削除する
- RAMの空き容量を確保:他のアプリを終了して空きメモリを増やす
結合後にファイルサイズを圧縮するQuartzフィルタ
結合済みPDFをそのままメール添付するとサイズオーバーになる場合は、Quartzフィルタで圧縮できます。
- プレビューで結合済みPDFを開く
- 「ファイル」→「書き出す」 を選択
- 書き出しダイアログの 「Quartzフィルタ」 プルダウンから 「Reduce File Size」 を選択
- ファイル名を変えて保存(解像度が落ちて画質が低下するので、原本は別名で残す)
標準の「Reduce File Size」は圧縮率が強めで、画像主体のPDFでは画質劣化が気になる場合があります。画質を保ちつつ圧縮したいなら、自作のQuartzフィルタを ColorSync Utility で作成して、解像度や画質パラメータを調整するのも有効です。
「ファイルを開けません」エラーの対処
結合元PDFのいずれかが 破損している と、結合自体は成功しても出力ファイルが開けなくなるケースがあります。
- 結合元PDFを1つずつプレビューで開いてみる:開けないファイルがあればそれが原因
- 破損が疑われるPDFは、元の作成元アプリでもう一度書き出し直してから再結合する
- クイックアクション・ショートカット経由でエラーが出る場合は、プレビューに切り替えて結合すると詳細なエラーが見える
- 結合直後にプレビューが落ちる場合は、Macでアプリを強制終了する5つの方法でアプリを再起動してから試す
オンライン結合ツールを使う前の注意点
「Mac PDF 結合」で検索すると、ブラウザでPDFをアップロードして結合できるオンラインツールが多数ヒットします。手軽ですが、業務利用ではいくつかリスクがあります。
- 機密情報の流出リスク:アップロードしたPDFが海外サーバーに保管される。社内資料・顧客情報・契約書などはオンラインツール禁止の社内規定があるケースも多い
- ファイルサイズ・回数制限:無料版は1日数回・10MBまでなどの制限がある
- 広告・追跡スクリプト:一部のサイトには大量の広告や追跡が仕込まれていることも
- プライバシーポリシーの確認:「アップロードファイルは X 時間後に自動削除」とうたっていても、削除の保証は技術的にはユーザーには不可視
本記事で紹介した4つの方法(プレビュー・クイックアクション・ショートカット・ターミナル)はすべてMac内部で完結するため、ファイルが外に出ません。機密性のある資料は必ずオフラインで結合してください。
まとめ:シーン別おすすめ手段
用途別の使い分けを最後に整理します。
- 2〜10個のPDFを目視で結合:プレビュー(ドラッグ&ドロップ)
- Finder上で右クリックだけで完結したい:クイックアクション「PDFを作成」
- 毎週同じ結合作業がある:ショートカットアプリで自動化+クイックアクション登録
- 数十個以上をスクリプトで一括処理:ターミナルで join.py をコール
- 機密情報を含むPDF:上記いずれかのオフライン手段に限定(オンラインツール非推奨)
結合トラブルの大半は パスワード保護 と ファイル破損 で説明できます。エラーが出たらまずプレビューで個別に開いて健全性を確認してから再挑戦してください。Macトラブル全般はMacのトラブル対処法まとめもあわせて参照してください。


