「パスワードを入力しても画面が震えて弾かれる」「認証は通ったのに同じログイン画面に戻ってくる」「Apple IDのパスワードを求められるが何度入れても通らない」「FileVaultのパスワード画面から先に進めない」——本記事はログイン画面まで到達しているのに認証を通過できないケースを対象にしています。画面が真っ暗でロゴすら出ない場合は、Macの画面が真っ暗になる時の対処法をご覧ください。本記事では macOS Sonoma / Sequoia を対象に、Apple Silicon(M1/M2/M3/M4)と Intel Mac の両方で、パスワード認証の失敗・ログインループ・Apple ID 認証エラー・FileVault のパスワード問題・Touch ID の不具合・業務 Mac の MDM 認証エラーまで、症状を切り分けながら順を追って解説します。Macのトラブル対処法まとめも参考に、上から順に試してみてください。
目次
- ログイン失敗と「画面が真っ暗」は別問題
- まず切り分け:症状のパターン
- パスワード入力の基本確認
- パスワードを忘れた場合の対処
- ログインループの解消
- FileVault パスワード問題
- Apple ID 認証エラー
- macOS アップデート直後のログイン問題
- ゲストアカウント有効化の活用
- 業務 Mac の認証エラー(MDM・企業アカウント)
- 最終手段:データ救出と再インストール
- まとめ:試す順序チェックリスト
ログイン失敗と「画面が真っ暗」は別問題
「Macにログインできない」という状況は大きく2つに分かれます。まずここを正確に把握しないと、対処法の方向がまったく変わります。
ログイン画面が出ているならこの記事
ユーザー名・パスワード欄が表示されている、または FileVault のロック解除画面が表示されている——ログイン画面まで到達できているならこの記事が対象です。Apple ID・パスワード・Touch ID・顔・MDM などの認証プロセスで詰まっているケースを扱います。
一方、電源ボタンを押してもリンゴロゴが出ない・起動プロセスの途中で画面が真っ暗になる・ログイン後にデスクトップが映らずカーソルだけ動くといった症状はログイン以前の問題です。その場合は Macの画面が真っ暗になる時の対処法 を先にご確認ください。
ログインループの定義
パスワードを入力して「Enter」を押すと、デスクトップが一瞬表示されてすぐにログイン画面に戻ってしまう状態をログインループと呼びます。「認証には成功しているのに正常に起動しない」パターンで、原因は認証情報ではなくログイン後に起動するアプリやシステム設定の不具合にあることがほとんどです。パスワードが弾かれる(入力直後に画面が震える)ケースとは根本的に異なります。
まず切り分け:症状のパターン
ログインできない症状にはいくつかの典型パターンがあります。自分の状態を確認してから対処法を選ぶと、最短で解決できます。
パスワードが弾かれる(画面が震える)
パスワードを入力して Enter を押すと、入力欄が左右に小刻みに震えて弾かれるケース。入力したパスワードが正しくないことを macOS が視覚的に示しています。Caps Lock のオン・かな入力のまま・キーボードレイアウトのズレ(JIS/US)が原因の 8 割を占めます。パスワードを本当に忘れた場合はリセット手順へ進みます。
パスワードは通るがログインループに入る
パスワード入力直後に画面が一瞬暗転してデスクトップが見えかけるが、すぐにログイン画面に戻ってしまうケース。ログイン後に自動起動するアプリや LaunchDaemon の不具合、またはユーザーフォルダ(ホームディレクトリ)のアクセス権が壊れていることが主な原因です。セーフモードで切り分けるのが最初のステップです。
ゲストアカウントしか出ない
ログイン画面にゲストユーザーしか表示されず、自分のアカウントが見当たらないケース。FileVault が有効になっていて、復旧キー認証が求められている場合か、管理者アカウントが削除・無効化されている可能性があります。また、会社支給の Mac では MDM ポリシーによってローカルユーザーが非表示になっていることもあります。
Apple ID 認証で詰まる
ログイン後または起動後に「Apple ID のパスワードを入力してください」ダイアログが出るが、正しいパスワードを入力しても通らないケース。Apple ID 側のアカウント状態(ロック・2ファクタ認証の未完了・パスワードの変更)が原因のことが多く、Mac 本体の問題とは切り分けて対処する必要があります。
FileVault パスワード画面で進めない
起動直後に FileVault のロック解除画面が表示され、パスワードを入力しても先に進めないケース。FileVault はmacOS ログインパスワードと同一のパスワードを使う設計ですが、Apple ID と紐付けた復旧設定によって稀にパスワードが乖離することがあります。復旧キーが手元にあるかどうかが分岐点になります。
macOS アップデート直後の認証エラー
macOS のメジャーアップデートまたはセキュリティアップデート直後からログインできなくなったケース。アップデートプロセスでシステムファイルが中途半端に書き換えられた、またはアップデートと同時に FileVault の復号化に失敗したことが原因として多くあります。
症状別の早見表
| 症状 | 主な原因 | 最初に試すこと |
|---|---|---|
| パスワードが弾かれる(画面が震える) | Caps Lock / 入力ミス / レイアウトズレ | Caps Lock確認 → キーボードレイアウト確認 |
| パスワードは通るがループする | ログイン項目の不具合 / ホームフォルダの権限破損 | セーフモードで起動 |
| ゲストしか出ない | FileVault 復旧認証 / MDM ポリシー | FileVault 復旧キーを入力 / IT管理者へ連絡 |
| Apple ID 認証が通らない | アカウントロック / 2FA未完了 | 別端末で account.apple.com を確認 |
| FileVault 画面で進めない | パスワードとの乖離 / 復旧キー紛失 | 復旧キーを入力 / macOS リカバリー |
| Touch ID が動かない | 再起動後の初回認証 / センサー認識失敗 | パスワード入力に切り替える |
| アップデート直後の認証エラー | システムファイル破損 / FileVault 復号化失敗 | macOS リカバリーで再インストール |
パスワード入力の基本確認
ログインが弾かれる場合、まず入力環境を確認します。意外と見落としやすいポイントばかりです。
Caps Lock・かな入力になっていないか
Caps Lock がオンになっていると、すべての文字が大文字で入力されます。ログイン画面のパスワード欄の右端に「⇪」アイコンが表示されている場合は Caps Lock がオンのサインです。Caps Lock キーを1回押してオフにしてから再度パスワードを入力してください。
また、日本語 Mac では かな入力モード(「あ」表示)のままパスワードを入力するとアルファベットの代わりに日本語のローマ字変換が入ることがあります。英数キーを押して「A」表示に切り替えてから試してください。ログイン画面では通常 IME は無効になっていますが、Touch ID 認証に続けてパスワードを要求された際に稀に引き継がれることがあります。
JIS/USキーボードレイアウトのズレ
外付けキーボードを接続している場合、JIS(日本語)配列のキーボードが US 配列として認識されている、またはその逆が起きていることがあります。「@」と「[」が入れ替わっているなどの症状がある場合は配列のズレです。
パスワードにアットマークや括弧、記号が含まれている場合、JIS 配列と US 配列でキーの位置が異なるため、同じキーを押しても別の文字が入力されます。接続しているキーボードを外してMac本体のキーボードで試すか、US 配列の場合はそれに合わせた位置で記号を入力してみてください。
別のユーザーアカウントでログインして確認
Mac に複数のユーザーアカウントが存在する場合、別の管理者アカウントでログインできるか試してください。別アカウントでログインできれば問題は特定のユーザーアカウントに限定されており、そこから元のアカウントのパスワードをリセットできます。
- ログイン画面左上のアカウント一覧から別の管理者アカウントを選択する
- そのアカウントのパスワードでログインする
- システム設定 → ユーザーとグループ を開く
- 問題のアカウントを選択して「パスワードをリセット」をクリックする
管理者アカウントが1つしかない場合、またはそのアカウント自体のパスワードを忘れた場合は次のセクションの macOS リカバリーを使った手順に進みます。
パスワードを忘れた場合の対処
パスワードを完全に忘れてしまった場合、いくつかの方法でリセットできます。利用できる方法は Mac の設定によって異なります。
Apple ID でパスワードをリセット
macOS Sonoma 以降では、パスワードを3回以上間違えると「Apple ID を使用してリセット」オプションが表示されます(事前に Apple ID との紐付けが必要)。
- ログイン画面でパスワードを3回以上間違える
- 「Apple ID でリセット」または「ロックを解除するには Apple ID を使用してください」のリンクをクリックする
- Apple ID とパスワードを入力して認証する
- 2ファクタ認証コードを入力する
- 新しいログインパスワードを設定する
このオプションが表示されない場合は、Apple ID とのパスワードリセット連携が設定されていないか、macOS のバージョンが古い(Ventura 以前)可能性があります。その場合は macOS リカバリーを使います。
FileVault 復旧キーでの解除
FileVault を有効にする際に「復旧キー」を生成した場合、そのキーでロックを解除してパスワードをリセットできます。復旧キーは「XXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXX」形式の 24 桁の英数字文字列です。
- FileVault のロック解除画面でパスワードを3回間違える(または「?」アイコンをクリック)
- 「復旧キーを使用してロックを解除する」オプションを選ぶ
- 復旧キーを入力する
- その後 macOS が起動したらパスワードをリセットする
macOS リカバリーからリセット手順
Apple ID リセットも復旧キーも使えない場合、macOS リカバリー環境からパスワードをリセットします。Apple Silicon と Intel Mac で手順が異なります。
Apple Silicon Mac(M1 / M2 / M3 / M4)の手順:
- Mac を完全にシャットダウンする
- 電源ボタンを長押しして「起動オプションを読み込んでいます…」が表示されるまで押し続ける
- 「オプション(歯車アイコン)」をクリック → 「続ける」を選択
- 管理者アカウントを選択してそのパスワードを入力する(リカバリー環境へのアクセスに必要)
- メニューバーの 「ユーティリティ → ターミナル」を開く
- ターミナルに resetpassword と入力して Enter を押す
Intel Mac の手順:
- Mac を再起動して、起動直後から Cmd + R を長押しし続ける
- Apple ロゴが表示されたらキーを離してリカバリー環境が起動するのを待つ
- メニューバーの 「ユーティリティ → ターミナル」を開く
- ターミナルに resetpassword と入力して Enter を押す
resetpassword コマンドの使い方
ターミナルで resetpassword を実行すると「パスワードリセット」ウィンドウが開きます。
- ドロップダウンからパスワードをリセットしたいボリューム(Macintosh HD)を選択する
- パスワードをリセットしたいユーザーアカウントを選択する
- 新しいパスワードを2回入力する
- 「パスワードを変更」をクリックする
- Mac を再起動して新しいパスワードでログインを試みる
FileVault が有効な場合、パスワードリセット後に FileVault のロック解除パスワードも連動して変更されます。ただし、FileVault の復旧キーは変わりませんので、これまで使っていた復旧キーは引き続き有効です。
ログインループの解消
パスワードは正しいのにログイン後すぐ画面に戻ってしまうログインループは、認証情報ではなくログイン後の起動プロセスに問題があります。
セーフモードで起動して原因を切り分ける
セーフモードはログイン項目・カーネル機能拡張を読み込まずに macOS を起動するモードです。セーフモードでログインできればソフトウェアが原因、できなければシステムレベルの問題です。
Apple Silicon Mac のセーフモード手順:
- Mac をシャットダウンする
- 電源ボタンを長押しして「起動オプションを読み込んでいます…」が表示されるまで押し続ける
- 起動ディスク(Macintosh HD)が表示されたら Shift キーを押しながら「続ける」をクリックする
- 画面右上に「セーフブート」と表示されてログイン画面へ進む
Intel Mac のセーフモード手順:
- Mac を再起動する
- 起動直後から Shift キーを長押しし続ける
- ログイン画面に「セーフブート」と表示されたら離す
セーフモードでログインできた場合、原因はログイン項目または機能拡張です。次のステップでログイン項目を無効化します。
「ログイン項目」が原因の場合
セーフモードでログインできた後、以下の手順でログイン項目を無効化します。
- セーフモードでログインした状態で システム設定 → 一般 → ログイン項目と機能拡張 を開く
- 「起動時に開く」に並ぶアプリをすべてオフにする
- Mac を通常再起動してログインできるか確認する
- ログインできたら、アプリを1つずつ再有効化しながら再起動を繰り返し、原因のアプリを特定する
「機能拡張」セクションも確認してください。VPN クライアント・仮想化ソフト・古いセキュリティツールが原因になることが多くあります。原因のアプリが特定できたら、そのアプリを最新バージョンに更新するかアンインストールします。
NVRAM/PRAM リセット(Intel Mac のみ)
Intel Mac ではログイン関連の設定が NVRAM に保存されており、これが壊れるとログインループが起きることがあります。Apple Silicon Mac ではこの操作は不要・無効です。
- Mac をシャットダウンする
- 電源ボタンを押した直後から Cmd + Option + P + R を同時に押し続ける
- 起動音が2回鳴るまで(または Apple ロゴが2回表示されるまで)押し続ける
- キーを離すと通常起動が続く
Shift キー長押しでログイン項目をスキップ
セーフモードに入るのではなく、通常起動時にログイン直後だけログイン項目の自動起動をスキップする方法があります。ログイン画面でパスワードを入力して Enter を押した直後から Shift キーを長押ししてください。デスクトップが表示されるまで押し続けると、ログイン項目が起動しない状態でデスクトップに入れます。
これは一時的な回避手段であり、根本解決にはなりません。この状態でログインできたら、前述のログイン項目の無効化を行ってください。
FileVault パスワード問題
FileVault は Mac のストレージ全体を暗号化する機能で、起動直後にパスワードで復号化を行います。パスワードの扱いが通常のログインと微妙に異なります。
FileVault はmacOSパスワードと同期
FileVault のロック解除パスワードは macOS のユーザーログインパスワードと同じです。macOS のパスワードを変更すると、次回の FileVault 解除から新しいパスワードが適用されます。
ただし、Apple ID と紐付けてパスワードリセットを行った場合や、別の管理者アカウントからパスワードを強制変更した場合、稀に FileVault 側のパスワードが古いままになることがあります。その場合は:
- FileVault の画面で古いパスワード(変更前)を試してみる
- 古いパスワードで解除できた場合、macOS にログインしてパスワードを改めて設定し直す
復旧キーの確認と使い方
FileVault の設定時に「復旧キー」を選択した場合(Apple ID でのリカバリーを使わずに設定した場合)、24 桁の英数字からなる復旧キーが発行されています。
復旧キーの保存先を確認してください:
- 設定時に印刷した紙
- パスワードマネージャーや安全なメモ
- iCloud キーチェーン(Apple ID で管理している場合は Apple ID 経由でリセット可能)
復旧キーが見つかった場合:FileVault の解除画面でパスワードを3回間違えると「?」アイコンが表示されます。それをクリックして復旧キーを入力する画面に切り替えてください。
復旧キーを失くした場合
復旧キーをなくし、かつ Apple ID でのリカバリーも設定していない場合、データへのアクセスは非常に困難になります。FileVault の暗号化はミリタリーグレードの AES-XTS 方式であり、鍵なしでの解読は現実的ではありません。
この状態でできることは限られています:
- Time Machine バックアップ:外付けドライブに Time Machine バックアップがある場合、そのバックアップからデータを取り出せる可能性があります
- Apple サポートへの相談:Apple 公式の手順で解決できる場合もあるため、まず問い合わせてみてください
- macOS の再インストール:データの取り出しを諦める場合は、macOS リカバリーからストレージを消去してクリーンインストールすることで Mac は使えるようになります
今後のために: FileVault の設定画面(システム設定 → プライバシーとセキュリティ → FileVault)から復旧キーを確認・再発行できます。ログインできる状態の時に必ず安全な場所に保存してください。
Apple ID 認証エラー
macOS では起動後やスリープ復帰後に Apple ID のパスワードを求めることがあります。正しいパスワードのはずなのに通らない場合、Apple ID 側のアカウント状態に問題があることがほとんどです。
別端末で account.apple.com を確認
スマートフォンやタブレットなど別の端末のブラウザで account.apple.com にアクセスして、Apple ID の状態を確認します。
- ブラウザで https://account.apple.com にアクセスする
- Apple ID とパスワードでサインインする
- 「サインインとセキュリティ」でパスワードが最近変更されていないか確認する
- アカウントが一時停止・ロック・削除状態になっていないか確認する
別端末で Apple ID にサインインできない場合は、Apple ID 自体がロックされているか、パスワードが変更されています。account.apple.com のロック解除手順に従ってください。
2ファクタ認証でコードが届かない時
Apple ID の2ファクタ認証が有効になっている場合、認証コードが信頼できる端末に届かないことがあります。
- 別の信頼できる Apple デバイスを確認:iPhone・iPad・別の Mac など、同じ Apple ID でサインインしている端末にコードが届いているはずです
- SMS 認証に切り替える:コードが届く端末がない場合、account.apple.com で「別の方法で認証」を選択して登録済みの電話番号に SMS でコードを送ることができます
- 信頼できる電話番号を確認:account.apple.com → 「サインインとセキュリティ」→「2ファクタ認証」で登録済みの電話番号を確認してください
- 復旧コード:事前に発行してある Apple ID 復旧コードがあれば、それを使って認証できます
Apple ID のロック解除手順
Apple ID がロックされている場合(セキュリティ上の理由でロックがかかることがあります):
- https://iforgot.apple.com にアクセスする
- Apple ID(メールアドレス)を入力して「続ける」をクリックする
- 画面の指示に従って本人確認を行う(信頼できる端末・電話番号・復旧コードのいずれかを使用)
- 新しいパスワードを設定してロックを解除する
- Mac のダイアログで新しいパスワードを入力する
本人確認手段がすべて利用できない場合は、Apple サポート(https://support.apple.com/ja-jp)に連絡してアカウント回復のサポートを求めてください。本人確認書類が必要になることがあります。
macOS アップデート直後のログイン問題
macOS のアップデート後にログインできなくなった場合、アップデートプロセス中に問題が発生した可能性があります。
アップデート完了後にログインできない既知の事例
macOS のメジャーアップデード(例:Ventura → Sonoma → Sequoia)では、アップデート完了画面が表示された後、ログイン画面でパスワードを入力してもループする、または「設定が完了しています」から先に進まないケースが報告されています。
まず以下を試してください:
- 強制再起動:電源ボタンを10秒以上長押しして強制終了 → 再起動する
- セーフモードで起動:アップデート後の初回はセーフモードでログインすることでアップデートの初期化処理を完了させ、通常起動で入れるようになることがある
- しばらく待つ:アップデート後の初回起動では FileVault の再暗号化やインデックス作成が裏で動いており、CPU が高負荷になって見かけ上フリーズしているように見えることがある。30分〜1時間待ってみる
リカバリーモードで OS を再インストール(データ保持)
アップデート後の問題は macOS の再インストールで解決することがほとんどです。「再インストール」はユーザーデータを保持したままシステムファイルのみを上書きするため、写真・書類・アプリは残ります。
Apple Silicon Mac:
- Mac をシャットダウンする
- 電源ボタンを長押しして「起動オプションを読み込んでいます…」が表示されるまで押す
- 「オプション(歯車)」→「続ける」を選択する
- 管理者アカウントを選択してパスワードを入力する
- 「macOS を再インストール」を選択してインストール先として Macintosh HD を選ぶ
- インターネット接続が必要(Wi-Fi を選択する)
Intel Mac:
- Mac を再起動して、起動直後から Cmd + R を長押しし続ける
- リカバリー環境が起動したら「macOS を再インストール」を選択する
インストールには 30〜60 分かかります。途中で電源を切らないよう、AC アダプタを接続した状態で行ってください。macOS ダウングレードは Apple が公式にサポートしておらず、ほぼ不可能です。アップデート後の問題は再インストールで対処することになります。
ゲストアカウント有効化の活用
自分のアカウントにログインできない状況でも、ゲストアカウントが有効であれば一時的に Mac を使うことができ、データ救出の窓口にもなります。
データ救出に役立てる
ゲストアカウントでは自分のホームフォルダにはアクセスできませんが、外付けドライブや USB メモリにアクセスしてデータをコピーすることが可能な場合があります。また、ゲストアカウントからターミナルを使って(管理者パスワードなしでアクセスできる範囲で)ファイルを確認することもできます。
ゲストアカウントを有効にする手順(管理者アカウントでログインできる場合):
- システム設定 → ユーザーとグループ を開く
- 「ゲストユーザー」を選択する
- 「ゲストユーザーがこのコンピュータにログインできるようにする」をオンにする
Time Machine バックアップを別 Mac で開く
Time Machine バックアップが外付けドライブにある場合、別の Mac にそのドライブを繋いでバックアップからファイルを取り出せます。
- 外付けドライブを別の Mac に接続する
- Finder でドライブを開いて「Backups.backupdb」フォルダ内の日付フォルダを参照する
- 必要なファイルを別のドライブや iCloud にコピーする
Time Machine バックアップが暗号化されている場合(バックアップ作成時に暗号化を設定した場合)は、バックアップパスワードが必要です。バックアップパスワードはログインパスワードとは別に設定したものが使われます。
業務 Mac の認証エラー(MDM・企業アカウント)
会社支給の Mac では、MDM(Mobile Device Management)と呼ばれる企業向けデバイス管理システムが設定されており、個人の Mac とは異なる認証の仕組みが使われています。このセクションは CPC $1.61 の広告主層(業務利用・データ復旧サービス)に多い問題を扱います。
MDM によるロックとは
MDM(Mobile Device Management)は Jamf・Kandji・Mosyle・Addigy・Microsoft Intune などの製品が企業向けに提供するデバイス管理システムです。IT 管理者がポリシーを設定・変更すると、Mac の動作がリモートで制御されます。
MDM が原因でログインできなくなる主なシナリオ:
- パスワードポリシーの強制変更:管理者がパスワードの有効期限や複雑さの要件を変更した結果、古いパスワードが無効になった
- アカウントのロック:規定回数のパスワード失敗でアカウントが自動ロックされた
- MDM による Mac の完全ロック:紛失・盗難対応として管理者がリモートで Mac をロックした(この場合は数桁の PIN コードが必要)
- Activation Lock:Apple Silicon Mac では Apple ID と紐付けた Activation Lock が企業の MDM と競合することがある
Managed Apple ID の制限
企業や教育機関では Managed Apple ID(管理された Apple ID)が使われることがあります。通常の個人 Apple ID とは異なり、以下の制限があります:
- 組織の IT 管理者のみがパスワードをリセットできる
- iforgot.apple.com 経由でのセルフリセットが制限されている場合がある
- 2ファクタ認証の信頼できる端末が会社支給のデバイスに限定されている場合がある
- 「Family Sharing」や個人の iCloud サービスへのアクセスが制限されている
Managed Apple ID のパスワードをリセットするには組織の IT 管理者または Apple School Manager / Apple Business Manager の管理者に依頼するしかありません。
VPN 接続が前提のディレクトリ認証
大企業では、ユーザーアカウントが Active Directory(AD)や LDAP ディレクトリサーバーで管理されており、社内ネットワークまたは VPN に接続していないとログインできない設定になっていることがあります。
- 在宅勤務中や出張中に VPN が切断された状態で Mac を再起動すると、ディレクトリサーバーに接続できずログインに失敗する
- ディレクトリ認証が失敗した場合、キャッシュされた認証情報(前回の正常ログインの情報)を使えることがある。この場合はネットワーク接続なしでもログインできる
- キャッシュが有効でない場合(長期間ログインしていない、パスワードをネット経由で変更した直後など)は社内ネットワークまたは VPN 接続が必要になる
対処法:まず有線 LAN またはオフィスの Wi-Fi に接続してから起動を試みてください。VPN が先に必要な場合は、VPN クライアントを起動するために別のユーザーアカウント(ローカルアカウント)でのログインが必要なこともあります。
IT 管理者への連絡推奨タイミング
以下の状況では個人での対処が難しく、速やかに社内の IT 部門(ヘルプデスク)に連絡してください:
- MDM による「このデバイスはロックされています」画面が表示されてPINコードを求められる
- 「このアカウントは無効になっています」と表示される
- ログイン後すぐに「デバイスは組織のポリシーに準拠していません」のメッセージが出る
- Managed Apple ID のパスワードを忘れた / リセットできない
- 会社の Mac を初期化・再インストールしたら MDM プロファイルが再適用できない
- 退職者のアカウントが前の持ち主のままで、新しい担当者がログインできない
IT 管理者に連絡する際は、エラーメッセージの文言・発生したタイミング・その前に行った操作をメモして伝えると解決が早くなります。
最終手段:データ救出と再インストール
ここまでの手順をすべて試してもログインできない場合、データを救出してから macOS を再インストールする段階に入ります。
ターゲットディスクモード(Intel Mac)
Intel Mac 同士であれば、ターゲットディスクモードを使って問題のある Mac のストレージを外付けドライブとして別の Mac から読み込めます。FileVault が有効な場合はパスワードまたは復旧キーが必要です。
- 問題の Intel Mac をシャットダウンする
- Thunderbolt(または USB-C)ケーブルで別の Mac に接続する
- 問題の Mac の電源を入れながら T キーを長押ししてターゲットディスクモードで起動する
- 別の Mac の Finder に問題の Mac のドライブが表示される
- FileVault のパスワードを入力してロックを解除するとファイルが見える
Apple Silicon の共有ディスクモード
Apple Silicon Mac ではターゲットディスクモードに代わり、共有ディスクモード(System Volume Share)が使えます。
- 問題の Apple Silicon Mac をシャットダウンする
- 電源ボタンを長押しして「起動オプションを読み込んでいます…」まで待つ
- 起動オプション画面で「オプション(歯車)」→ 「続ける」を選択する
- 管理者アカウントを選択してパスワードを入力する
- メニューバーの「ユーティリティ → 共有ディスク」を選択する
- 別の Mac から Finder のネットワークセクションでこの Mac に接続してファイルを取り出す
Time Machine からの復元
外付けドライブに Time Machine バックアップがある場合、バックアップの日付・時点の状態に Mac 全体を復元できます。これはストレージの問題やシステムファイルの破損による場合に特に有効です。
- Time Machine バックアップドライブを Mac に接続する
- macOS リカバリー環境に入る(Apple Silicon:電源長押し / Intel Mac:Cmd + R)
- 「Time Machine バックアップから復元」を選択する
- バックアップドライブを選択して、復元する日付・時点を選ぶ
- 復元先のボリュームを選択して復元を開始する(1〜数時間かかる)
macOS 再インストール(データを残す)
「データを残して macOS だけ上書きする」方法です。システムファイルが破損している場合に有効で、ユーザーデータ・アプリ・設定はそのまま保持されます。
- macOS リカバリー環境に入る
- 「macOS を再インストール」を選択する
- インストール先として「Macintosh HD」を選択する(「Macintosh HD - Data」は選ばない)
- インターネット接続をして(Wi-Fi 選択)インストールを開始する
完全消去 → クリーンインストール
データを取り出した後、または Mac を売却・返却する場合は、ストレージを完全に消去してからクリーンインストールします。
- macOS リカバリー環境に入る
- 「ディスクユーティリティ」を開いて「Macintosh HD - Data」を選択して削除する
- 「Macintosh HD」を選択して「消去」→ フォーマット「APFS」でフォーマットする
- ディスクユーティリティを閉じてリカバリーメニューに戻る
- 「macOS を再インストール」を選択してクリーンインストールを行う
Apple Silicon Mac の場合、売却前には「すべてのコンテンツと設定を消去」(システム設定 → 一般 → 転送またはリセット → すべてのコンテンツと設定を消去)を使う方が確実で簡単です。この操作は macOS にログインできる状態でのみ実行できます。
まとめ:試す順序チェックリスト
「Macにログインできない」を解決するための推奨手順です。症状に合った項目から試してください。
- 画面が真っ暗なら別記事へ:ログイン画面が出ていない場合は Macの画面が真っ暗になる時の対処法を参照する
- まず症状を分類する:パスワードが弾かれる / ログインループ / FileVault / Apple ID / MDM のどのパターンかを確認する
- Caps Lock・かな入力・キーボードレイアウトを確認する(パスワードが弾かれる場合の最優先確認事項)
- 別の管理者アカウントでログインしてみる(存在する場合)→ ログインできればそこからパスワードをリセット
- Apple ID でパスワードをリセットする(パスワードを忘れた場合・macOS Sonoma 以降で Apple ID 連携済みの場合)
- FileVault 復旧キーが手元にあれば入力してロック解除する
- macOS リカバリーで resetpassword を実行してパスワードをリセットする(Apple Silicon:電源長押し / Intel Mac:Cmd+R)
- ログインループの場合:セーフモードで起動してログイン項目をすべて無効化する
- Intel Mac のみ:NVRAM リセット(Cmd + Option + P + R)を試す
- Apple ID 認証エラーの場合:別端末で account.apple.com を確認 → 必要なら iforgot.apple.com でロック解除
- アップデート直後の問題:セーフモードを試してから、macOS リカバリーで再インストール
- 業務 Mac の MDM・Managed Apple ID 問題:IT 管理者(ヘルプデスク)に連絡する
- データ救出が必要:ターゲットディスクモード(Intel Mac)または共有ディスクモード(Apple Silicon)で別 Mac からデータをコピーする
- 最終手段:macOS 再インストール(データ保持)または完全消去 → クリーンインストール
多くのケースはステップ3〜7で解決します。「パスワードが通らない」と「ログインループ」は別問題ですので、症状を正確に把握することが最短解決への鍵です。Windowsで同様のサインイン問題が起きている場合は Windowsにサインインできない時の対処法 もあわせてご覧ください。Mac のトラブル全般については Macのトラブル対処法まとめ | 症状別に解説 もご参照ください。


